2023年11月に新潮社より拙書『かぐや姫と浦島太郎の血脈 ヤマトタケル尊と応神天皇の世紀』が出版されます。
かぐや姫は御伽噺の竹取物語の主人公です。このかぐや姫と同じ名前の姫が『古事記』に迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)として載ります。
物語のかぐや姫は竹の内で誕生して、最後には月に帰ります。それはまるで何処か異世界からやってきて、また元の場所に帰っているようにも見えます。
恐らく物語の製作者が、かぐや姫のモデルにしたと思われる歴史書に記された迦具夜比売命もまた、月の世界のような異世界に帰るイメージをそこに託したと思われます。
結論から述べれば、迦具夜比売命は初代から続いた「タニハ王朝」の最後を飾る世代の姫であり、その婚姻譚は王朝の滅亡をそこに託しているものとなります。
異なる人物という幾つかの系譜を重ね合わせると、かぐや姫の本来の人物が浮かび上がります。
それは迦具夜比売命は、丹波道主王の娘の日葉酢姫であり、別の名が息長真若中比売(おきながまわかなかひめ/なかつひめ)であるとなります。
丹波道主王は初代から続く「タニハ王朝」の最後の大王(天皇)です。またその子には日葉酢姫の他に朝廷別王(みかどわけのみこ)という王子がいます。
その名は朝廷から別れた王と、その父が朝廷(天皇)であったと暗示していると捉えられます。こちらを御伽噺の浦島太郎のモデルと想定しています。
内容は「謎の四世紀」の時代が主な範囲となります。
1.ヤマトタケル尊は複数人の投影でその一人は建御雷神。
2.垂仁天皇は新羅の国の王子、天日槍命の一族の投影。
3.日子坐王の一族は大王家。
4.かごめうたの鶴と亀は二つの王家の象徴。
5.継体天皇の祖先の応神天皇とは景行天皇である。
今回も奉納画家の瑠璃さんの美しいイラストが表紙です。本当に感謝です。
前著『神武天皇と卑弥呼の時代』では「謎の四世紀」以前を説明しました。
章と小見出は下記に記載しております。
【著者プロフィール】歴史家。歴史研究家。幼少より歴史に親しむ。神社などを巡るフィールドワークから、研究を積み上げる手法を得意とする。日本ペンクラブ会員。
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はじめに
凡例
序章 語り継がれた御伽噺や童歌への願い
『日本書紀』誕生の黎明期
御伽噺や童歌に込められた想い
謎の四世紀と前著『神武天皇と卑弥呼の時代』の振り返り
第一章 天孫降臨神話と大和三山の三王家
猿田彦大神
猿田彦大神は天照大神の分身
猿田彦大神と事代主神
天照大神対天照大神
瓊々杵尊と天孫降臨
物部氏の西遷
三王家と火中出生神話
火闌降命と玉勝山代根古命
タニハ王朝と武甕槌命
天稚彦と天津彦根命
天日分命と天日鷲命
大和三山は三王家の聖山
中臣氏の御祖神
饒速日の世代
武甕槌命と中臣氏
伊勢津彦命と健御名方神
伊勢都彦命と日高見神社
星神香香背男と天手力男神
天背男命と天手力雄神と彦星
天磐戸の天照大神と八倉比売
天津羽羽神と三嶋溝杭姫命
第二章 かぐや姫と日本武尊の子孫たち
日本武尊と謎の系譜
宮簀姫命と建甕槌命
かぐや姫とカグロヒメ
息長氏の出自
『上宮記逸文』と稲荷山古墳出土金錯銘鉄剣の系譜
日向土本毘古王と甲斐国
狭穂彦王と東国のタニハ王国、甲斐国
都怒我阿羅斯等の来日
比売碁曽神社の阿加流比売と二人の夫
垂仁天皇は天日槍命
活目入彦五十狭茅天皇と天之日矛
天日槍命の王朝と纏向珠城宮
珍彦と志理都彦命
二人の倭宿禰命と珍彦
日子坐王の系譜
五十瓊敷入彦命と河上之摩須
丹波道主命と川上一族
かぐや姫と竹野姫
第三章 分裂と争乱の四世紀 垂仁天皇と日子坐王の一族
八咫烏と賀茂(可茂) 神社
向日神社と賀茂別雷神
神武天皇の子孫と賀茂別雷大神
山背大国不運の娘、綺戸辺
乙訓と竹野姫とかぐや姫
両道入姫皇女と稲依別王
日子坐王と玖賀耳御笠
丹波道主命のタニハ征服
日子坐王の但馬国進出と比古汝茅
稲背入彦命と御諸別命
播磨稲日大郎姫と神櫛皇子
五十日帯彦命と成務天皇
磐衝別命は景行天皇の一人か
左近の桜、右近の橘
第四章 滅びゆくタニハ王朝と浦島太郎の物語
吉備津彦命の末裔の角鹿国造と都怒我阿羅斯等
五十沙別命(伊奢沙和気大神)と笹神
事代主神と笹神の神徳
少彦名命と事代主神
かぐや姫と瀬織津姫命
天伊佐佐比古命と印南別嬢
吉備津彦の神剣と胆狭浅の大刀
磐衝別命の血
丹波道主命の娘たち
迦具夜比売命と時空を超えて
狭穂姫と誉津別王
朝庭別王と王朝交代
弟橘媛と日本武尊
若野毛二俣王と隼総別皇子
白鳥の二人
天甕津比売命と天御梶日女命
赤衾伊努意保須美比古佐倭気命と阿遅鉏高日子根神
宇佐の三女神と卑弥呼
宇佐の三女神と宗像三女神
八幡比咩神とは何か
宗像三女神と日田の久津媛
建御名方神と大原足命
日田の久津媛と小止与姫
隼人と豊比咩命
法蓮と放生会
日本武尊の西国征討 出雲振根と武内宿禰
稲葉国造と武内宿禰
川上梟帥と日本武尊の襲名
朝庭別王と浦島太郎の物語
第五章 相克の果てに かごめ唄に込められた想い
穂国の朝庭別王
武卵王と讃留霊王
天穂日命と天火明命
出雲国造家は天照大神と豊受大神を奉斎す
気比大神と剣御子
五百木之入日子命と品陀真若王
武内宿禰は世襲で受け継ぐ称号
武内宿禰と審神者
応神天皇は武内宿禰と神功皇后の子
大山守皇子と隼総別皇子
日触使主と宮主宅媛
允恭天皇と武内宿禰
忍熊皇子と武内宿禰の戦い
忍熊皇子と神剣の行くえ
難波根子建振熊命
菟道稚郎子命は応神天皇
仁徳天皇と応神天皇
衣通姫と木梨軽皇子
八田皇女と磐之媛命
市辺押磐皇子と億計王 弘計王
継体天皇の即位
おわりに
あとがきにかえて
主要参考文献一覧
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「海部氏勘注系図の解説1 初代天皇(孝昭天皇)の世代」から海部氏勘注系図の解説を読んでいただくと分かりやすいかと思います。